法律事務所ではなく企業や省庁、地方公共団体などに所属し、その一員として仕事をする弁護士を企業内弁護士、インハウスロイヤー等といいます。企業内弁護士は年々増加しており、日本弁護士連合会の統計によれば、2001年に全国で66人であった企業内弁護士は2014年には1179人にまで増え、企業内弁護士を採用している企業も2014年には619社となりました。企業に対するコンプライアンス、法令遵守の要請の高まりや企業活動グローバル化によって法律専門家が果たす役割に対するニーズが大きくなっていること、また司法制度改革によって弁護士が増加し、企業内弁護士を自身のキャリアとして選択する弁護士が多くなったことが背景にあります。もっとも、1179人、619社という数は、日本国内の企業数に比べればまだまだ少なく、我々弁護士業界としては、ますますの企業内弁護士の増加を期待しているところです。
そこで、より多くの企業の方に企業内弁護士についてさらに理解を深めていただくために、私が所属している第二東京弁護士会を含む在京三弁護士会は、2015年9月1日、「弁護の採用を検討する企業様向け情報交換会」を開催しました。
現役の企業内弁護士4人をパネリストとしてお招きし、それぞれの所属部署、職務、企業内に弁護士をおくことのメリット、企業内弁護士に期待されている役割などについてお話ししていただきました。当日は、中堅~中小の企業20社の主に採用担当者27名と多くの方がお越しくださいました。
ただ、お越しくださった方の声を聞くと、概ね好意的な評価をいただきましたが、企業内弁護士の採用についてはまだまだ検討の段階に留まっており、具体的な準備を開始するには至っていない企業がほとんどでした。企業内弁護士の採用に高いハードルがあると感じている企業は依然として少なくないようです。企業内弁護士の増加に向けて、まだまだ努力が必要なことを改めて痛感させられた説明会でした。