弁護士に事件処理を依頼するにあたり、弁護士費用がいくらかかるかは重要な問題です。しかし、弁護士にとっても、弁護士費用はいくらが相当なのかは、しばしば迷うところです。まったく同じ内容の事件というのはどれ一つとしてなく、また事件処理の行方を見通すのが困難な場合も少なくないからです。ご依頼者のご事情も様々です。
したがって、以下で当職の報酬の内容及び基準を説明しますが、これらはあくまで目安とお考えください。弁護士費用は、弁護士がご依頼者に一方的に押付けるものではなく、ご依頼者と弁護士との間で協議して決定するものです。ご意見、ご希望等がありましたら、何なりとお申し付けください。他の弁護士との間で相見積もりをとっていただくのも結構です。
着手金・報酬金
弁護士に事件処理をご依頼いただいても、必ずしも満足な結果が生じるとは限りません。そこで、弁護士費用は、着手金と報酬金の二段階でいただくこととしています。
着手金は、事件処理による結果のいかんにかかわらず、弁護士が一定の金額をいただくものです。これに対して報酬金は、生じた結果に応じて弁護士がいただくものです。着手金及び報酬金の算出の仕方は、次のとおりです。
先ず、当該事件に関わるご依頼者の方の経済的利益を算出します。経済的利益とは、ごく簡単にいえば、当該事件で相手方に請求する金額、または相手方から請求されている金額のことです。
次に、上記経済的利益に次の割合をかけ合わせて着手金を算出します。
300万円以下の部分 | 8% |
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300万円を超え3,000万円以下の部分 | 5% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 | 3% |
3億円を超える部分 | 2% |
報酬金は、事件処理の結果ご依頼者が得た利益に次の割合をかけ合わせて算出します。
300万円以下の部分 | 16% |
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300万円を超え3,000万円以下の部分 | 10% |
3,000万円を超え3億円以下の部分 | 6% |
3億円を超える部分 | 4% |
原則として、着手金の倍の割合となります。
具体例を見てみましょう。
1売掛金500万円の請求を弁護士に依頼し、400万円を回収できた。
着手金は、請求する500万円が経済的利益となりますので、
- 300万円以下の部分 300万円×8%=24万円
- 300万円を超え3,000万円以下の部分 (500万円-300万円)×5%=10万円
- 24万円+10万円=34万円
が目安の金額となります。
報酬金は、400万円を回収できましたので、
- 300万円以下の部分 300万円×16%=48万円
- 300万円を超え3,000万円以下の部分 (400万円-300万円)×10%=10万円
- 48万円+10万円=58万円
が目安の金額となります。
2交通事故を起こしてしまい、被害者から損害賠償1,000万円を請求されたため、弁護士に処理を依頼した結果、過失相殺が認められて400万円を支払うこととなった。
着手金は、請求されている1,000万円が経済的利益となりますので、
- 300万円以下の部分 300万円×8%=24万円
- 300万円を超え3,000万円以下の部分 (1,000万円-300万円)×5%=35万円
- 24万円35万円=59万円
が目安の金額となります。
報酬金は、400万円を支払うこととなり、請求額を600万円減じることができましたので、
- 300万円以下の部分 300万円×16%=48万円
- 300万円を超え3,000万円以下の部分 (600万円-300万円)×10%=30万円
- 48万円+30万円=78万円
が目安の金額となります。
経済的利益が考えられない場合
離婚や子どもの親権を求める事件や刑事事件などは、経済的利益を観念することができません。そのような事件につきましては、事件ごとに個別に報酬基準を定めています。例えば、
離婚事件の場合
着手金 | 30万円を基本的な金額とし、婚姻費用、子どもの親権、養育費、財産分与など争点に応じて50万円までの範囲で増額します。 |
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報酬金 | 離婚が成立したことに対する報酬金30万円を基本的な金額とし、さらに子どもの親権などご依頼者が獲得した利益に応じ、増額する。婚姻費用、養育費、財産分与など金額で評価できる利益については、上記報酬金の算出に準じる。 |
刑事事件の場合
着手金 | 20万円を基本的な金額とし、処理内容に応じて増減する。 |
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報酬金 | 40万円を基本的な金額とし、結果に応じて増減する。 |
これらは、通常事件処理に要するであろう手数や時間を勘案して定めたものです。しかし、離婚事件であっても、相手方が離婚については争っていない場合から、調停が成立せず訴訟に至る場合まで、刑事事件では、起訴されずに釈放される場合から、否認事件まであり、ご依頼内容によって要する手数や時間はまちまちです。
したがって、上記はあくまで目安であり、金額が増減することをご了承くださいますようお願い申し上げます。
結果の成功不成功がない場合
弁護士が一定の作業をすることを目的とし、結果の成功不成功がない場合があります。例えば、契約書のチェック、内容証明郵便の作成、遺言書の作成などです。この場合、弁護士報酬は、着手金報酬金ではなく、手数料としていただきます。
具体的な金額は、ご依頼内容が様々であるため一言でご説明するのは難しいのですが、例えば内容証明郵便の作成では、1通3万円程度からお引き受けいたします。また、タイムチャージをお願いすることもありますので、ご了承ください。
日当について
事件処理をするにあたり、弁護士が遠方に出かける必要がある場合は、目的地までの距離や時間に応じて日当をお願いすることがあります。例えば、目的地までの往復に半日を要する場合に、3万円程度をお願いすることがあります。
顧問料について
顧問料は、法律相談や書面の作成、契約書のチェックなど業務量に応じ、月額3万円程度からお引き受けいたします。なお、訴訟や調停などの提起、複雑、継続的や対応や交渉が必要となったときは、顧問契約とは別途に事件処理のご依頼及び弁護士報酬をお願いいたします。
法律相談料について
初回30分は無料でお受けいたしますが、その後の継続相談は、相談料をお願い申し上げます。30分あたり5,000円でお願い申し上げます。
おわりに
繰り返しになりますが、上記基準はあくまで目安であり、ご依頼の内容によって金額はまちまちです。ご意見、ご希望など何なりとお申し付けください。
また、着手金は必ず全額を前払いという訳ではなく、報酬金も必ず一括払いという訳ではありません。分割払いをご希望の方はお申し出ください。
なお、当職は法テラスと契約をしていますので、法テラスの資力基準を満たし、援助を希望される方はお申し出ください。